ハーキマーダイヤモンド原石

モース硬度一覧|宝石・鉱物・身近なものの硬さを比較

はじめに

「この宝石、どのくらい傷つきにくいんだろう?」「持っている天然石のお手入れ方法は?」

宝石や天然石を手にすると、その美しさと同時に「硬さ」が気になりますよね。そんな時に役立つのがモース硬度です。

この記事では、宝石や鉱物の硬さを示すモース硬度について、初心者の方にも分かりやすく解説します。主要な宝石から身近なものまでを網羅した一覧表を参考に、あなたの宝石の硬さを確認してみましょう。

モース硬度一覧表【宝石・身近なもの】

まずは、モース硬度の基準となる鉱物、代表的な宝石、そして私たちの身の回りにあるものの硬度を一覧表で見てみましょう。ご自身の持っている宝石や、気になる石がどのくらいの硬さなのか、チェックしてみてください。

10ダイヤモンドダイヤモンド
9コランダムルビー、サファイア
8トパーズトパーズ、スピネル
7.5エメラルド、ガーネット(一部)
7石英(クォーツ)水晶、アメジスト、シトリン鋼のヤスリ(6.5)より硬い
6.5ペリドット、ガーネット(一部)
6オーソクレース(正長石)ムーンストーン、ラブラドライトガラス、ナイフの刃(5.5)より硬い
5アパタイト(燐灰石)アパタイト、ターコイズ(トルコ石)
4フローライト(蛍石)フローライト、マラカイト10円玉(銅/3.5)より硬い
3カルサイト(方解石)カルサイト、真珠、サンゴ人間の爪(2.5)より硬い
2ジプサム(石膏)ジプサム、琥珀
1タルク(滑石)タルク最も柔らかい

モース硬度1から10の基準鉱物

モース硬度は、1から10までの10種類の基準鉱物で定められています。硬度1の「滑石(タルク)」が最も柔らかく、硬度10の「ダイヤモンド」が最も硬い基準です。

水晶・ルビーなど主要宝石の硬度

上の表にあるように、人気の宝石の硬度は様々です。 水晶(クォーツ)やアメジストは硬度7ルビーやサファイアは硬度9と非常に硬く、ジュエリーとして扱いやすいことが分かります。

爪やガラスなど身近なものの硬度

宝石の硬さをイメージするために、身近なものと比較してみましょう。 例えば、人間の爪の硬度は約2.5です。そのため、硬度3のカルサイトには傷をつけられませんが、硬度2の石膏には傷をつけられます。また、ガラスやナイフの刃は約5.5なので、これらで傷がつくかどうかで、硬度6以上の石かどうかを大まかに判断できます。

モース硬度とは?傷つきやすさの指標

そもそもモース硬度とは何なのでしょうか。ここでは、その基本的な意味と、混同されがちな「靭性」との違いについて解説します。

相対的な硬さを示す10段階の尺度

モース硬度とは、ドイツの鉱物学者フリードリヒ・モースが考案した、鉱物の硬さを表す尺度のことです。これは「あるもので引っかいたときの傷のつきにくさ(引っかき硬度)」を示しており、絶対的な硬さではなく、あくまで相対的な硬さの順番を表しています。

例えば、硬度7の水晶は硬度6の正長石に傷をつけることができ、硬度8のトパーズは硬度7の水晶に傷をつけることができる、という関係性を示しています。

靭性(割れにくさ)との違い

硬度とよく混同される性質に「靭性(じんせい)」があります。

  • 硬度: 表面の傷つきにくさ
  • 靭性: 衝撃に対する割れにくさ・欠けにくさ

この2つは必ずしも比例しません。例えば、ダイヤモンドはモース硬度10で最も傷つきにくい宝石ですが、特定の方向からの衝撃には弱く、ハンマーで叩くと割れてしまいます。 一方で、硬度は7.5〜8のエメラルドは、内部に多くの内包物を含むため靭性が低く、衝撃に非常に弱いことで知られています。

宝石を扱う上では、傷つきにくさ(硬度)と割れにくさ(靭性)の両方を考慮することが大切です。

絶対硬度との数値の違い

モース硬度は1から10までの尺度ですが、その間隔は均等ではありません。絶対的な硬さ(ヌープ硬度など)で比較すると、数値が上がるほどその差は急激に大きくなります。

特に、モース硬度9のコランダム(ルビー、サファイア)と硬度10のダイヤモンドの間の硬さの差は、硬度1から9までの差をすべて合わせたよりも大きいと言われています。ダイヤモンドがいかに突出して硬いかが分かりますね。

硬度別に見る宝石の例と硬さの目安

モース硬度の数値が、具体的にどのくらいの硬さを示すのか、代表的な硬度を例に見ていきましょう。

モース硬度7(水晶)はどれくらい?

モース硬度7は、宝石を日常的に身につける上での一つの基準とされています。 その理由は、私たちの生活空間に存在するホコリや砂埃の主成分が石英(水晶と同じ成分)であり、その硬度が7だからです。

つまり、硬度7未満の宝石は、空気中のホコリを拭き取るだけでも細かな傷がつく可能性があります。そのため、硬度7以上の宝石は比較的傷を気にせず日常使いしやすいと言えるでしょう。

モース硬度5(アパタイト)の硬さ

モース硬度5は、ナイフの刃(約5.5)でなんとか傷がつくかどうか、というレベルの硬さです。ガラス(約5.5)よりは少し柔らかいイメージです。 このくらいの硬度の宝石(アパタイト、ターコイズなど)は、他の硬い宝石や金属、ガラスなどにぶつけると簡単に傷がついてしまうため、取り扱いには注意が必要です。保管する際も、他のジュエリーと接触しないようにしましょう。

モース硬度9(ルビー・サファイア)の硬さ

モース硬度9を誇るルビーやサファイアは、ダイヤモンドに次いで非常に硬い宝石です。 日常生活で傷がつく心配はほとんどなく、非常に丈夫で扱いやすいのが特徴です。婚約指輪や毎日身につけるジュエリーとして人気が高いのも、この優れた硬度と耐久性によるものです。

モース硬度2.5(爪)との比較

モース硬度2.5は、人間の爪とほぼ同じ硬さです。 このレベルの硬度を持つ鉱物や宝石(琥珀、真珠、サンゴなど)は非常にデリケートです。爪でひっかいただけでも傷がつく可能性があり、汗や化粧品などの酸にも弱いため、着用後には柔らかい布で優しく拭くなど、丁寧なお手入れが欠かせません。

人気宝石のモース硬度と取り扱い

ここでは、特に人気の高い宝石をピックアップし、それぞれのモース硬度と取り扱う上での注意点をご紹介します。

水晶・アメジスト(硬度7)

  • 特徴 モース硬度7の水晶(クォーツ)グループは、比較的傷に強く、日常的に身につけやすい宝石です。透明な水晶のほか、紫のアメジスト、黄色のシトリンなどカラーバリエーションも豊富です。
  • 取り扱いの注意点 硬度7は日常使いに十分な硬さですが、それより硬い宝石(トパーズやサファイアなど)と一緒に保管すると傷がつく可能性があります。また、強い衝撃で欠けることもあるため、ぶつけないように注意しましょう。

ガーネット(硬度6.5〜7.5)

  • 特徴 ガーネットは種類が非常に多く、種類によって硬度が6.5〜7.5と幅があります。一般的に知られる赤いガーネット(アルマンディンやパイロープ)は硬度7〜7.5で比較的丈夫です。
  • 取り扱いの注意点 ほとんどのガーネットは日常使いに適していますが、硬度が低め(6.5程度)の種類の場合は、傷がつかないように少し注意が必要です。超音波洗浄は可能ですが、フラクチャー(ひび)が多い石は避けた方が無難です。

エメラルド(硬度7.5〜8)

  • 特徴 モース硬度は7.5〜8と高いですが、エメラルドは宝石の中でも特に取り扱いに注意が必要です。その理由は、内部にインクルージョン(内包物)やクラック(ひび)が多く、靭性が低いためです。
  • 取り扱いの注意点 硬度は高くても衝撃に非常に弱く、些細なことで割れたり欠けたりすることがあります。超音波洗浄機の使用は絶対に避けてください。お手入れは、柔らかいブラシとぬるま湯で優しく洗う程度にしましょう。

ルビー・サファイア(硬度9)

  • 特徴 モース硬度9を誇るコランダムという鉱物で、ダイヤモンドに次ぐ硬さを持ちます。赤いものをルビー、それ以外の色をサファイアと呼びます。熱や薬品にも強く、非常に安定した宝石です。
  • 取り扱いの注意点 非常に丈夫で、お手入れも簡単です。ただし、他の宝石と一緒に保管すると、ダイヤモンド以外のほとんどの宝石を傷つけてしまう可能性があります。保管する際は、必ず個別の袋やケースに入れるようにしましょう。

モース硬度の簡単な調べ方

専門家でなくても、宝石の大まかな硬度を推測する方法があります。ただし、大切な宝石を傷つけるリスクがあるため、試す際は自己責任で、慎重に行ってください。

身近なもので硬さを調べる方法

以下の身近なものを使い、どちらに傷がつくかで硬度を推測できます。

  • 爪(硬度 約2.5): 爪で傷がつくなら、硬度2.5より柔らかい。
  • 10円玉(硬度 約3.5): 10円玉で傷がつくなら、硬度3.5より柔らかい。
  • ナイフの刃やガラス片(硬度 約5.5): これらで傷がつくなら、硬度5.5より柔らかい。
  • 鋼のヤスリ(硬度 約6.5): ヤスリで傷がつくなら、硬度6.5より柔らかい。

【注意】この方法は宝石の目立たない部分で試すのが原則ですが、貴重な宝石やカットされた宝石には絶対に行わないでください。

モース硬度計の使い方

より正確に調べたい場合は、「モース硬度計」という道具があります。これは、モース硬度の基準鉱物が先端についたペンのようなものがセットになっており、硬度1のペンから順番に石を引っかいて、傷がつくかどうかで硬度を特定します。 鉱物採集などを趣味にする方向けの専門的な道具ですが、興味があれば調べてみるのも面白いでしょう。

モース硬度に関するよくある質問

最後に、モース硬度に関してよく寄せられる質問にお答えします。

モース硬度に単位はある?

モース硬度に単位はありません。 モース硬度は、あくまで10段階の鉱物の「序列」を示した相対的な尺度です。そのため、「グラム(g)」や「メートル(m)」のような単位は存在しません。

モース硬度10以上の物質は?

現在、天然の鉱物でモース硬度10のダイヤモンドを超える硬さのものは発見されていません。 ただし、人工的に作られた物質の中には、ダイヤモンドより硬いとされる「ウルツァイト窒化ホウ素」や「ロンズデーライト」などが存在しますが、これらは非常に特殊な環境下で生成されるものです。

金属(金・銅)のモース硬度は?

ジュエリーに使われる主な金属のモース硬度は以下の通りです。

  • 金(Au): 2.5
  • 銀(Ag): 2.5~3
  • 銅(Cu): 3
  • プラチナ(Pt): 3.5
  • 鉄(Fe): 4

このように、ほとんどの貴金属は宝石に比べて非常に柔らかいです。そのため、ジュエリーの地金部分は傷がつきやすいことを覚えておきましょう。

まとめ

この記事では、モース硬度の一覧から、その意味、宝石ごとの取り扱いの注意点までを詳しく解説しました。

  • モース硬度は、鉱物の「傷つきにくさ」を示す1〜10の相対的な尺度
  • 硬度7(水晶)が日常使いの一つの目安
  • 硬さだけでなく、衝撃への弱さを示す「靭性」も重要
  • 硬度の高い宝石は、他の宝石を傷つけないよう個別に保管する

モース硬度は、あなたの持っている大切な宝石や天然石の性質を理解し、長く美しく保つための重要な手がかりになります。この一覧表を参考に、それぞれの石に合った付き合い方を見つけて、ジュエリーライフをさらに楽しんでくださいね。

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