鉱物

鉱物の種類一覧|写真でわかる有名な石と中学理科の要点

はじめに

「理科の授業で鉱物について習い始めたけど、種類が多くてよくわからない…」 「キラキラした綺麗な石が好きで、もっと詳しく知りたい!」

この記事は、そんなあなたのために書きました。鉱物の世界は奥が深く、知れば知るほど面白くなります。

この記事では、鉱物とは何かという基本から、写真付きで代表的な鉱物の種類、中学理科で役立つ知識まで、初心者の方にも分かりやすく解説します。この記事を読めば、鉱物の種類の全体像がわかり、身の回りの石を見る目が変わるはずです。

鉱物とは?鉱石や宝石との違い

まずはじめに、「鉱物」そのものについて理解を深めましょう。よく似た言葉である「鉱石」や「宝石」との違いを知ることで、より明確にイメージできるようになります。

鉱物の定義|天然にできる無機物の結晶

鉱物とは、かんたんに言うと「天然にできた、一定の化学組成を持つ無機物の結晶」のことです。少し難しい言葉が並びましたが、ポイントは以下の3つです。

  • 天然にできる 人工的に作られたものは鉱物とは呼びません。
  • 無機物である 生物の活動によって作られたもの(例:サンゴ、真珠)は除かれます。
  • 結晶構造を持つ 原子が規則正しく並んだ「結晶」という形をしています。

私たちの足元にある地面や岩石は、こうした小さな鉱物の粒が集まってできています。

「鉱石」との違い|資源として有用なもの

鉱石とは、私たちの生活に役立つ資源として利用できる鉱物や、それが集まった岩石のことを指します。

例えば、鉄を取り出すための「鉄鉱石」や、アルミニウムの原料となる「ボーキサイト」などが鉱石にあたります。つまり、数ある鉱物の中で、経済的な価値を持つものが鉱石と呼ばれます。

「宝石」との違い|美しさと希少性を持つもの

宝石とは、鉱物の中でも特に「美しさ」「希少性」「硬さ」を兼ね備えたものです。

ダイヤモンドやルビー、サファイアなどがその代表例です。すべての鉱物が宝石になれるわけではなく、厳しい条件をクリアした特別な鉱物だけが宝石と呼ばれます。つまり、宝石は鉱物の一種と考えることができます。

【写真付き】代表的な鉱物の種類一覧

世界にはたくさんの鉱物の種類がありますが、まずは有名で代表的なものを覚えてみましょう。ここでは、特に重要な8種類の鉱物を写真のイメージとともに紹介します。

石英(セキエイ)

  • 特徴 無色透明なものが多く、ガラスの原料として有名です。非常に硬く、きれいな六角柱状の結晶を作ることがあります。
  • 豆知識 紫色の石英は「アメシスト」、黄色のものは「シトリン」と呼ばれ、宝石としても人気があります。私たちが普段「水晶」と呼んでいるものも、この石英のことです。

長石(チョウセキ)

  • 特徴 白やピンク、淡い黄色など様々な色があります。地球の地殻(表面部分)で最も多く存在する鉱物で、陶磁器(お茶碗など)の原料として使われています。
  • 豆知識 特定の種類の長石は、光の当たり方によって青白い光を放つことがあり、「ムーンストーン」として知られています。

黒雲母(クロウンモ)

  • 特徴 その名の通り黒色で、キラキラと光沢があるのが特徴です。薄いシート状にペリペリと剥がれる性質(へき開)を持っています。
  • 豆知識 花こう岩(御影石)の中に見られる黒い粒が、この黒雲母です。

角閃石(カクセンセキ)

  • 特徴 濃い緑色から黒色をしており、細長い柱状の結晶が集まった形をしています。
  • 豆知識 輝石とよく似ていますが、結晶の断面がひし形に近いことや、割れ方で区別されます。少し専門的ですが、見分けるポイントの一つです。

輝石(キセキ)

  • 特徴 こちらも濃い緑色から黒色をしていますが、角閃石に比べてずんぐりとした短い柱状の結晶をしています。
  • 豆知識 輝石の仲間である「ヒスイ輝石」は、美しい緑色の宝石「翡翠(ひすい)」として非常に有名です。

カンラン石

  • 特徴 オリーブのような美しい黄緑色(かんらん色)をしているのが最大の特徴です。丸みを帯びた粒状で見つかることが多いです。
  • 豆知識 透明で美しいものは「ペリドット」という名前で8月の誕生石としても知られています。

方解石(ホウカイセキ)

  • 特徴 無色透明や白色のものが多く、ひし形に割れやすい性質があります。鍾乳洞の主成分でもあります。
  • 豆知識 塩酸をかけると二酸化炭素の泡を出して溶けるという、特徴的な性質を持っています。この性質は理科の実験でもよく利用されます。

黄鉄鉱(オウテッコウ)

  • 特徴 真鍮のような黄色で、金属のような光沢があります。立方体や正十二面体のきれいな結晶を作ることがあります。
  • 豆知識 見た目が金に似ていることから、「フールズゴールド(愚者の金)」というニックネームで呼ばれることもあります。

鉱物の分類|有色鉱物と無色鉱物

数多くの鉱物を理解しやすくするために、まず「色」で大きく2つのグループに分ける方法があります。それが「有色鉱物」と「無色鉱物」です。

有色鉱物とその代表例

有色鉱物とは、鉄やマグネシウムといった成分を多く含むため、黒や濃い緑色など、色のついた鉱物のことです。比重が大きく、重いのが特徴です。

黒雲母・角閃石・輝石・カンラン石

  • 黒雲母 黒くて薄く剥がれる鉱物。
  • 角閃石 黒っぽく、長い柱状の鉱物。
  • 輝石 黒っぽく、短い柱状の鉱物。
  • カンラン石 黄緑色で、丸い粒状の鉱物。

無色鉱物とその代表例

無色鉱物とは、鉄やマグネシウムをほとんど含まないため、白っぽかったり、無色透明だったりする鉱物のことです。有色鉱物に比べて比重が小さく、軽いのが特徴です。

石英・長石

  • 石英 無色透明で不規則に割れる鉱物。
  • 長石 白やピンク色で、決まった方向に割れる鉱物。

中学理科で習う6つの主要な造岩鉱物

中学校の理科では、岩石をつくる主要な鉱物として、特に重要な6種類の鉱物を学びます。これらは「造岩鉱物」と呼ばれ、テストでも頻出の重要ポイントです。

これまでの内容の復習にもなりますので、しっかり覚えておきましょう。

無色鉱物|石英・長石

無色鉱物は、白っぽく見える鉱物です。花こう岩などの白っぽい部分がこれにあたります。

  • 石英 無色透明。形に規則性がなく、ガラスの破片のように見えることが多いです。
  • 長石 白色や淡いピンク色。決まった方向に割れるため、少し角ばった形に見えます。

有色鉱物|黒雲母・角閃石・輝石・カンラン石

有色鉱物は、黒っぽく見える鉱物です。花こう岩の黒いゴマのような部分がこれにあたります。

  • 黒雲母 黒くてキラキラ光る。薄く剥がれるのが最大の特徴です。
  • 角閃石 黒くて細長い柱状の形をしています。
  • 輝石 黒っぽく、角閃石より短い柱状の形をしています。
  • カンラン石 黄緑色(かんらん色)の粒状の形をしています。

初心者のための鉱物の見分け方

鉱物採集などで石を見つけたとき、「これは何だろう?」と見分けるのは楽しい作業です。専門的な道具がなくても、いくつかのポイントに注目することで、鉱物の種類を推測することができます。

色|有色か無色か

まず注目すべきは色です。黒や緑っぽい色をしていれば「有色鉱物」、白や透明であれば「無色鉱物」の可能性が高いです。カンラン石のように特徴的な黄緑色をしているものは、それだけで見当がつきます。

形|鉱物固有の結晶のかたち

鉱物には、それぞれ決まった結晶の形(自形)があります。もし、石英の六角柱や黄鉄鉱の立方体のような、はっきりとした形が見つかれば、大きなヒントになります。岩石の中では、他の鉱物に邪魔されてきれいな形が見られないことも多いですが、探してみる価値はあります。

硬さ|傷のつきやすさで判断

鉱物の硬さは、種類を見分けるための重要な手がかりです。鉱物の硬さを表す尺度に「モース硬度」というものがあります。

簡単な方法として、人の爪(硬度約2.5)や、鉄の釘(硬度約5.5)でひっかいてみて、傷がつくかどうかで大まかな硬さを知ることができます。例えば、爪で傷がつくなら、方解石(硬度3)より柔らかいかもしれません。

割れ方・砕け方|特定の方向に割れるか

鉱物を割ったときの面の様子も、種類を見分けるヒントになります。

  • へき開 黒雲母が薄く剥がれたり、方解石がひし形に割れたりするように、決まった方向にスパッと平らに割れる性質のことです。
  • 断口(だんこう) 石英のように、割れ口が不規則でザラザラになる性質のことです。

割れ口がツルツルか、ザラザラかを見てみましょう。

鉱物の種類に関するよくある質問

最後に、鉱物の種類に関してよく寄せられる質問にお答えします。

Q. 鉱物は全部で何種類ある?

A. 現在、国際鉱物学連合によって公式に認められている鉱物の種類は、約5,900種類以上あります。 そして、今でも毎年100種類以上の新しい鉱物が世界中で発見されています。まだまだ未知の鉱物がたくさん眠っている、ロマンのある世界です。(参考:日本鉱物科学会)

Q. 鉱物と岩石はどう違う?

A. 鉱物は「単一の物質」であるのに対し、岩石は「複数の鉱物の集合体」です。 よく「チョコレートチップクッキー」に例えられます。クッキー全体が「岩石」だとすると、中に入っているチョコチップやナッツの一つひとつが「鉱物」にあたります。例えば、花こう岩という「岩石」は、石英・長石・黒雲母といった「鉱物」が集まってできています。

Q. 身近な場所で見つかる鉱物は?

A. 河原や海岸に行くと、たくさんの鉱物を見つけることができます。 白くて丸い石の多くは「石英」です。また、公園の石垣や建物の壁に使われている花こう岩(御影石)を観察すれば、白色の「長石」、半透明の「石英」、黒く光る「黒雲母」を簡単に見つけることができます。意識して探してみると、意外と身近に鉱物があふれていることに気づくはずです。

まとめ

この記事では、鉱物の基本的な知識から、代表的な種類、見分け方までを解説しました。

  • 鉱物とは、天然にできる無機物の結晶のこと。
  • 代表的な鉱物には、石英、長石、黒雲母、カンラン石などがある。
  • 鉱物は色によって、鉄やマグネシウムを含む有色鉱物と、含まない無色鉱物に分けられる。
  • 中学理科では、石英、長石、黒雲母、角閃石、輝石、カンラン石の6つが重要。
  • 初心者は「色」「形」「硬さ」「割れ方」に注目すると見分けやすい。

鉱物の世界は、知れば知るほどその魅力に引き込まれます。この記事をきっかけに、ぜひ図鑑を手に取ったり、博物館に足を運んだりしてみてください。道端の石ころ一つにも、壮大な地球の物語が隠されていることに気づくでしょう。

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